留学準備 no.12(クラーク教授来日)

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成田からロンドンまで航空券を予約した。5月30日出発の片道切符である。イギリスに渡って、直ぐに戻って来る訳にはいかない。ロンドン大学にも出発日を告げるレターを送った。準備は順調に進んでいる。

4月5日の昼前、電話があった。英語である。誰だろう? ピーター・クラーク教授?
いやはや、驚き。おそるべきは大英帝国。4月8日に来日するとメールで連絡してきたクラーク教授からの電話であった。日本での研究者と交流もあり、日本がフィールドのひとつとなっている。

「新宿ワシントンホテルについた。今日の夕方、会おう」

ゲッ!

論文やら、いろいろ鞄に詰め込んで、ワシントンホテルに向かう。フロントで電話をかけてから待つこと1分、颯爽と現れたのは、堂々たる恰幅の英国人。12時間に及ぶフライトの疲れも見せずに、にこやかに握手の手を差し出す。ただ者ではない。これから異国の地で数年お世話になる先生、好印象。

そのまま、ホテルのバーでビアを飲み、1時間半ほど雑談をした。研究のことでは、私は今まで調べた研究資料(日本語で数十ページ)を見せながら、今後のイギリスでの研究について説明した。

しかし、クラーク教授は、

「日本のデータをたくさん持ってきなさい。」

ということをいろいろ宣われる(冷汗)。

(これだけ準備した、あとは英国での研究だ)と思っていたのに。

ショックを受けながら、会話を進めていると、どうも変なことに気がついた。そう、彼は私のレポートを手にしながらそれを全く理解していなかったのである。

英語に翻訳する時間がなかったので、日本語のレポートを見せ、一応日本の研究資料は揃えたということを伝えるつもりだったのであるが、彼は日本語が全くダメだったのである。ここ数年、研究のために毎年、来日しいるのに。会話もできない。
 資料の中身の説明をすると、

「もう、イギリスで研究をスタートするに足る準備はすんでいるのだね」

との言葉を引き出すことに成功し、多少は安心した。クラーク教授の英語は、とても聞き取りやすく、それにも少し安心した。留学、どうにか大丈夫か。

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留学準備 no.11

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ロンドン大学キングスカレッジ大学院の事務スタッフからレターが届いた。早速、渡英と渡英してからのスケジュール調整だ。

Professor Peter Clarke is willing to allow you to begin your research from June 1996 but we must point out that this will be the long vacation and the libraries are not open for very long during the day.

However, if you are determined to start in June, please let Professor Peter Clarke know and he will be grad if you will contact him at his home in Oxford and visit him there. You will be able to discuss your research.

We shall need to know the exact date of your coming to London.

Yours sincerely,

Miss L. Harding Postgraduate Secretary

図書館が閉まっている時期があるが、6月からの研究スタートは希望通り許可された。研究についての指導は6月、オックスフォードに住むクラーク教授を訪問するところからはじまる。現在の研究センターの仕事は春までなので、渡英は5月下旬頃か。入国審査の書類(ビザ関連)のこともあるので、早めに航空会社で便を調べてもらい、渡英日を決めなければ。

慌しくなってきたが、順番にこなしていこう。

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留学準備 no.10

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アイエルツ試験の結果が届いた。スコア 7.0
キングスカレッジの語学コースも免除、晴れてロンドン大学キングスカレッジの大学院入学が最終的に決定した。

ちなみに、イギリスの大学、大学院入学には、準備コースとしてファンデーションコースもある。留学生のためのコースで、通常、9月期入学で1年間、英語と専門科目を勉強する。アイエルツで5.0~6.0程度の場合、このようなコースを経るか、大学院の英語コースなどでの英語力強化という条件付合格があるのだ。

さあ、キングスカレッジに結果報告と、5月下旬もしくは6月初旬には渡英したい旨を伝えなければ。リサーチ・コースなので、開始時期は指導教授との相談で決められる。そして、渡英したらすぐに図書館は利用可能なのか、寮はどこに入れるのか。やるべきことは山積だ。

まだ寒い2月の東京で

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留学準備 no.9

11月17日に申し込んだアイエルツの試験を、年明けて1月22日に受験した。International English Language Testing System - IELTS(アイエルツ)試験は、Listening, Writing, Reading, Interview。世界、120カ国で受験でき、 英国、オーストラリア、ニュージーランド、北米の大学で受け入れられている。16歳以上なら誰でも受験できる。

ReadingとラWritingに関してはアカデミック(大学)、ジェネラル・トレーニング(一般)のいずれかのモジュールを選択する。通常、英国の教育機関で研究・勉強する場合はアガデミックを、それ以外は、ジェネラル・トレーニングだ。テスト結果は、1から9の得点域で表示される。1は全くの初心者に、9は英語を完全に理解した上で適正、正確、流暢に使用することができるエキスパートである。

Wrtingでは、グラフを読み解き、英文で説明するようは問題だった。Interviewは英国紳士と一対一。全体的に、思うように出来なかった。先日の通知では、キングスカレッジの大学院入学許可には6.5以上スコアすることが必要だ。もし、5.0~6.5をスコアした場合にはキングスカレッジの語学コースが義務付けられる。大丈夫だろうか?

入学に必要なスコアをとるために再受験も可能だ。しかし最後に受験した日から3ヶ月が経過している必要がある。

とにかく2週間以内で通知されるはずの結果を待つしかない。この待つ日々、長く感じるんだよね。

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留学準備 no.8

内視鏡検査の日。
内視鏡の場合には前日の食事制限無し。当日は病院で朝9時半から11時まで、2リットルの下剤薬入りの水を少しづつ飲む。今日検査するのは、60歳位のおばさんとおじさんと私の3人。お二人はベテラン。すでにポリープを切っており、それ以後毎年、内視鏡検査をしているとのこと。そのおじさんが、ぽつりと

「2、3年に1度はポリープを切っていますね。」 

(この人、ただものではない!)

食塩水をまずくしたようなものをひたすら飲むと10時半くらいから腹痛。それからは何度もトイレへ。最後は水が流れるような感じ。これで腸は空っぽだ。

検査は午後2時から。
検査着に着替え検査室へ。寝台の横にはモニターがある。そこに横になるように指示される。お尻に注射をブス。その後しばらくして、肛門にクリームが塗られ、内視鏡が肛門から中へ。モニターにはピンク色のトンネルが映っている。そう、腸はすごく美しいのである。内視鏡はどんどん進んでいく。時より、ぐぐと説明しがたい痛み。

 医者 「このあたりが盲腸です。あなたは手術はしていませんね」 
 私  「ええ」
 医者 「いま内視鏡はこのあたりです」

といって私のお腹をぽんぽんと押す。それと同時にモニターに映っている腸が動く。

(こら! 他人のお腹で遊ぶな! 一応病人なんだから。もしガンだったら訴えてやる)
泣きたい心境でモニターを見る。突然、ピンクの腸に丸く黒いものが!!

(うそ、やめて。なんだこれは。まさか・・・)

 「先生、あれは何でしょう?」

冷静さをよそおって聞く。

 「果物の種か、便の残りでしょう」

(だよね。だよね。ふ~。)

直腸のところまでいったが・・・。先日の影が写っているレントゲン写真をもってくるも、

「とにかく、大丈夫なので、異常なしということです」

結局異常なし!
肛門近くの腸に毛細血管が多少浮き出ていて、腸がデリケートらしい。それで出血するらしい。刺激物、お酒もあまり沢山は飲まない方がいいらしい。内視鏡でも多少傷ついて血がでていた。とにかく、何でもなくて良かった。

1995年11月6日

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留学準備 no.7

2週間して、ロンドン大学キングスカレッジ大学院事務局から入学手続きの書類が届いた。これらの書類を記入すれば、晴れてリサーチコース大学院生である。ん? レターに但し書きが・・・。

 貴方への入学許可には、アイエルツの語学試験で、6.5以上スコアすることが条件となっています。また、もし、5.0~6.5をスコアした場合には、本学の語学コースが義務付けられます。

IELTSなる試験は、Listening, Writing, Reading, Interviewで構成されている。一日がかりの試験である。英語の試験が基準に達しなかったら合格取り消しか?
ブリティッシュ・カウンシルに行って、試験の申し込みをしなければ。

実は心配事があった。体のことだ。このひと月あたり体調がわるく、しまいには下血した。便に血が混じっていた。さっそく病院へ。「軟便も多少あった」とドクターに伝えると、取りあえず3日後にレントゲン検査をする事になった。

検査日の前日から宇宙食のようなパックに入ったお粥などとても人間の食べるものとは思えないようなものを食べ、夕食はぬきで下剤を飲み就寝。検査は午後から。朝食も抜き、死にそうな状態で病院へいった。

 「着替えて下さい」

と言われ検査着に。中年の看護婦が、私の腕に腸の動きを止めるための筋肉注射をブス。
 「ありがとうございます」

とお礼を言うと、

 「あら、痛いのに『ありがとう』だなんて。もう一本してあげたくなっちゃう」

 「・・・。」

しばらくして検査室へ。大きな機械があり、その台の上に寝るように指示される。肛門に、機械からつながった2本の管を入れられる。なんと一方からバリウムを注入しもう一方からバリウムを抜き出すという仕組みになっているらしい。あとは、マイクから聞こえる指示通りに体を動かす。台は垂直になったり、床と平行になったり、いろいろ動く。その度にバリウムの量が調節される。レントゲンは5、6枚くらい取っただろうか。10分位で検査は終わった。喉がかさかさ。

3日後、再来院。結果は「直腸のあたりにモヤ、影があります。直腸ガンの可能がないともいえません。内視鏡検査をします。」

(おっ、うわさに聞くスコープか。どんなんだろう。楽しみだ。)

(いやまてよ。ひょっとして、この若さにして、すごく危機的な状態?!)

「自分がガンになるわけがない」、フロイトのいう全能感を思いっきり働かせながらも、不安になってきた。検査予約をして帰宅した。

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留学準備 no.6

5日経って、再びロンドン大学キングスカレッジから手紙が届いた。

 親愛なるミスター稲場:

 ピーター・クラーク教授は、貴方の論文を注意深く審査し
 ました。フルタイムのMPhil/PhDリサーチコースという研究
 場所を貴方に提供できることを大変喜んでいます。
     ・・・云々。
                大学院秘書 ハーディング

流石は紳士・淑女の国。大げさでない!アメリカならば、Congratulations!という言葉があるはずなのに。それに比べなんと遠回しな表現だろうか。これが本当に大学院合格、入学許可なのかどうか確信が持てずにブリティッシュ・カウンシルの職員に聞いて確かめてしまった。それも何度も・・・。

学部(3年間)卒業後の進学は様々なコースがある。

 Postgraduate diploma course:9ヶ月。専門基礎知識と実践力
 を身につける。大学院への入学前にこのコースで学ぶ人もいる。

 Master course (修士課程)Taught course:講義主体の単位制。1年間で必要単位をそろえ、論文(1万~2万ワード)を執筆。学位は人文社会系でMaster of Arts(MA)、理系でMaster of Science (MSc.)。このコースを経て、次のリサーチコースに進学するケースも多い。

 Master course (修士課程)Research course:研究を主体とする最短2年間のコース。基本的には、修士課程と同じ分野の学士号を取得していることが入学条件のひとつ。 修士号は Master of Philosophy (MPhil.) 。

 Doctoral course (博士課程) :通常は上記のMPhilの院生としてスタート。Proposalと呼ばれる1万ワード以上の論文を提出し、審査でパスするばPh.D candidateとなる。担当教授の指導のもと研究をすすめ(3年以上)、約10万ワードの論文を執筆して提出する。その後、他機関の専門家 (External examiner) と、所属機関内の専門家(Internal examiner)2人の審査官による 口頭試問(viva)がある。口頭試問の審査には指導教授は加わらない。口頭試問に合格して始めて博士号 (PhD:Doctor of Philosophy) が授与される。

ブリティッシュ・カウンシルの職員のアドバイスをうけて、MPhil/PhDのリサーチコースに出願して、合格。リサーチコースか。論文と詳細な研究計画が評価されたのだろうか?よかった。そう、これからだ。

1995年10月13日

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留学準備 no.5

出願してから10日目、ついに、ロンドン大学キングスカレッジから返事が来た。ポストから出して、すぐに封を破る。はやる気持ちを抑えようがない。

 親愛なるミスター稲場:

 出願いただきまして、ありがとうございます。貴方の論文は
 ピーター・クラーク教授に手渡しました。
 貴方が英語教育を受けていると私は理解した上で申し上げます。
 貴方はIELTSの試験で6.5以上をスコアすることが必要です。
   ・・・云々。
                     大学院秘書 ハーディング

なんと、入学許可ではない! しかも、IELTS(アイエルツ)の試験を早く受けろということ遠回しに言っているではないか。定員制限と日程の問題で、年内には受けられそうもないのに・・・。

1995年10月8日

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留学準備 no.4

9月20日、東大教授に推薦状をお願いした。事務には英文成績書、卒業終了証明書を依頼した。24日、25日は、出願資料、英語論文、研究計画を執筆。そして、27日、出願書類一式をブリティッシュ・カウンシルに持参し、最終チェックをお願いした。

海外での留学経験もなく、英語にも自信がなく、最初、修士MAのTaughtコースを考えていたが、ブリティッシュ・カウンシルの職員のアドバイスで、MPhil/PhDのリサーチコースに出願することになったのである。そのように書類も作成済み。書類のチェックを終了し、大学院留学セミナーに参加した。

ブリティッシュ・カウンシルの職員は、本当に親切である。イギリスに留学する人は、少なくとも一度は訪れて、お世話になるだろう。

28日、アッという間に10日が過ぎ去った。いよいよキングスカレッジに出願である。幸先好く、大安だ。

航空便、速達、それから書留で・・・。郵便局のお兄さんが「EMSの方がいいですよ」と涼しげな顔で言う。(「何で、拡張メモリーが?」 いや、違う。)EMSとは国際エクスプレスメールのことだった。3日ほどでつく。保証もある。140グラムになる出願書類。1,600円なり。お得といわれながら、高いと思いつつも、安心を買う。手続きをおこなった。

 朗報、吉報、我、いづれか待つ   ん?

1995年9月28日

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英国ロンドン留学センターのおすすめブログに「テムズ河の風」が紹介されました。

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留学準備 no.3

9月16日、キングスカレッジから願書と大学紹介の資料が届いた。願書請求から2週間がすぎていた。さて、どうするか。

ブリティッシュ・カウンシルの職員に相談することにした。イギリス留学には IELTSなる試験(Listening, Writing, Reading, Interview)を受験することが必要とされる。しかし、11月まで定員オーバーである。この試験は面接もあり、1回の試験者が数十名ほどに限られているのである。また、アメリカ出願との兼ね合いも考えなければならない。入学許可をもらって断ることは避けたい。将来、研究会などでお世話になる教授たちである。UCサンタバーバラへの出願は12月末。11月の語学試験の結果を待ってキングスカレッジに出願したのではかち合ってしまう。

ここで、ブリティッシュ・カウンシルの職員は妙案を思いつく。語学試験は後で受けると伝えて、研究テーマなど送って結果をすぐに知らせて欲しいと懇願し、キングスカレッジにすぐに出願するのだ。なるほど、それは名案である。

これからの数日は多忙になる。研究計画、論文作成など出願準備をおこなわなければならない。ブリテッシュ・カウンシル横の英国喫茶で英国風のアフタヌーン・ティー、もちろんミルクティーであるが、ゆっくり堪能して帰宅した。

 我、未だ出願せずとも 英国を食す

1995年9月19日

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