フィニッシュ

長いこと休んでおりました。申し訳ございません。
この間、時折、散逸した留学時代の資料を探したりしておりました。メモの紛失に加えて、記憶も曖昧になってきました。無責任なことを書くわけにもいかないので、これで打ち切りとすることにしました。

最後に、イギリス大学院留学、成功の秘訣をいくつかあげて、幕引きとさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。

■入学の合否を決めるのは(再掲)
 基本的に教授です。特にリサーチ・コースでは、指導教授の決定は絶対的です。まずは、自分の専門分野と留学候補となる学科のスタッフをよく調べましょう。有名大学でも弱い分野もあります。
 また、大学院リサーチコースでの研究開始は、指導教授が許可すれば、通常の10月ではなく、いつでもはじめられます。事前によく相談しましょう。

■研究留学の成功を決めるの(再掲)
 図書館とスタートです。はじめが肝心。徹底的に図書館を利用しましょう。資料の検索方法、外国文献の取り寄せ方をふくめて図書館スタッフに何でも聞きましょう。
 論文を継続して読む習慣をつけることです。始めの数ヶ月は、どんなにつらくても、2日以上英語論文を読まない日がないように、自分に厳しくすることです。この最初の時期を乗り越えられなければ、電話帳のように分厚い学位論文(10万ワード)は遠のきます。400から500以上の英語文献を読み(実際には1,000以上の文献から絞り込むわけです)ながら研究を続け、最短でも3,4年の長丁場です。はじめが肝心です。
 そして、なるべく早く学位論文のいくつかに、パラパラ目を通すことです。内容まで細かく読む必要はありません。まず、ショックをうけることが大切です。通過儀礼です。多分、こんなもの、英語で書くのは自分には無理だ、そう思うでしょう。誰もがそう思います。それから、一歩一歩、毎日少しずつ歩むことです。継続は力なりです。

■継続するには
 議論できる、励ましあえる同僚を見つけることです。同じカレッジの、研究内容が近い院生がベストですが、見つからなければ、とにかく院生仲間をつくること。ただ、傷をなめ合い、いつもだらだらとなってしまうような関係は、エンドレス院生への道です。
書いたものを交換し、進捗状況をお互い話し合って、時には叱咤激励できる、そんな一人を見つけられたら、成功への切符を手にしたようなものです。

■スーパーバイザー(指導教官)とうまくやるには
 自分の考えは大切です。PhD論文ではオリジナリティが問われます。しかし、PhD取得という数年間の歩みには水先案内人が必要です。自分の考えを大切にすることと、研究方法・フィニッシュに至る道の歩き方を獲得することとは別物です。
 スーパーバーザーは、今までの経験から、院生よりも幅広い視点で、PhD取得までの道のりを見てくれている場合がほとんどです。時には、自分の考えを脇におき、スーパーバーザーからの指導をまずは一度うけとめてみることも大切です。
 どうしても受け入れられないという場合には、他の先生に相談してみるのも手です。場合によっては、カレッジや指導教官をかえるこも稀にあります。しかし、大学院留学の場合には、出願・研究を始める前に、研究計画、指導教官の過去の研究や指導などを見極めてスタートするはずです。どこに原因があるのか、その点が明らかにする必要があります。同じ失敗は繰り返せません。

■フィニッシュするには
 大学院留学、特にPhD(博士号)取得への道は長いです。流れにまかせていると、5、6年、あるいはもっと長い年月がかかってしまいます。
 まず、3年目の終わり頃、2,3ヶ月かけて一気に書いてしまうのです。英語がおかしいところがあっても当然。気にせずに流れを書くのです。分量にして7,8万ワード位はがんばりましょう。これで論点が曖昧なところ、データが足りないところが見えてきます。 納得がいくものが出来たら、次の章へと順次書くという方法では、いつまでたっても数万ワード、2章位しかかけていない・・・という状況を抜け出せず、精神的にもよくありません。そして、いつまでたってもゴールが見えず、終わりません。
 とにかく、あれこれ自分に言い訳せずに、ある時期に一気に書くのです。それが出来てはじめてゴールが見えます。この段階から半年から1年くらいでPhD論文が出来上がるものです。あとは口頭試験です。

これからチャレンジする皆さん、チャレンジ中の皆さん、身体に気をつけて頑張って下さい。
All the best,

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フィールドワーク no.4

(いろいろ忙しく、しばらくご無沙汰しておりました)

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事例研究として対象とするもうひとつの教団、キリスト教のJ教会の本部に、ご挨拶にうかがおうと先方とやり取りしていると、「2月1日にマンチェスターで、イベント集会をやるので、まずは見てみては?」と言われた。ジョン・キャンベルという広報・社会交流を担当する人からの提案である。

本部へのご挨拶前に、フィールドワークをスタートすることに不安を感じながらも、J教会はイベント集会の準備で忙しいかもしれないと思い、本部挨拶は後回しにマンチェスターに出かけることにした。長距離バス、コーチに乗っての調査旅行となった。

イベントは、マンチェスターにある劇場を貸しきって行われた。夕方6時スタート。少し早めに到着し、会場の周りを見て回った。会場のパーキングには20台以上のミニバンが駐車していた。このJ教会特有のカラフルな色使いでペイントされたミニバンである。8人乗り。「イエス、私たちは、君のために戦う」「愛、犠牲、勇気」などの文字も書かれている。

劇場入り口には、今日のイベント集会の説明が少々かかれたポスターがった。そして以下のように一行そえてあった。
A multi-media presentation with audience participation and response.

どのようなイベントなのだろうか。J教会は、昨年からイギリス全国を回ってイベント集会をしている。

十字架の絵や「私は君のために戦う」と書かれたコンバットジャケットをまとった若い男女が十数人会場入り口付近にいたが、私は軽く挨拶をして、中に入った。地方都市の劇場。かなり大きい。1000名ほどは収容可能である。

会場の音楽・映像を管理するブースに行き、ジョン・キャンベル氏に挨拶をした。郵送で頂いていたJ教会の冊子などの写真から彼の姿は知っていた。メガネをかけて、ヒゲもじゃ。先方も、日本人の私が近づいて来たので一目瞭然。握手をし、「今日は、自由に楽しんでいって下さい」と一言。準備で忙しい様子なので、私も挨拶をそこそこに、その場を立ち去った。190センチ近い長身、スリムなキャンベル氏は、40歳くらいであろうか。穏やかそうな人である。

開始時間を多少すぎて、集会イベントがはじまった。シンセサイザーとサーチライト。テクノ系の音楽。いきなり驚いてしまった。その後も驚きの連続。会場の大きなスクリーンに世界の自然災害、人災、麻薬、テロなどの映像を次々写し、終末思想をとく。リーダーのノール・スタントン氏がステージでステップを踏み、異言を発するように誘導する。両手を広げて天を仰ぐ人、「ピロ、ピロ・・・」と異言を発する人。ステージ横では、直径5メートルほどのプールみたいなものが設けられ、水が入っていたが、なんと、そこで洗礼がはじまった。

私の知る教会の範疇から大きく逸脱することの連続で、ある意味、収穫大といえばよいのだろうか。会場で、何人かのひとたちと言葉をかわした。

"The established church is for the middle class,
the working class people cannot identify themselves
in the church. We found our place here."

なるほど。会場には小さい子から年配までいるが、服装がある程度それを物語っているようでもある。これからの研究がどうそれを明かしてくれるか。唯一、リーダーのスタントン氏だけがネクタイをしていた。

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フィールドワーク no.3

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仏教F団体に、研究調査のご挨拶にうかがった。手紙とメールでのやり取りは済んでおり、研究に協力して頂けることになった。しかし、会うのは今回がはじめて。第一印象は重要。多少緊張しながら、ロンドンに二つある支部のうち、社会交流担当スタッフのいるロンドン北部の支部に出向いた。

建物の外見からは、仏像を安置し、瞑想・読経する仏教集団がいるとは想像できないような、どこにでもある英国建築である。

中に入ると、ダルマチャリ・グヒャパティが迎えてくれた。Dharmachariとはサンスクリット語で、彼の説明では、title that means those who follows Dharma, the Buddhist teachingという。この団体では得度をうけている仏教者だ。彼の名前は、やはりサンスクリット語で、意味は秘密の道。得度の時に授かった名前だ。180センチ以上はある、30歳くらいのイギリス男性。金髪でハンサムだ。

もうひとり、ダルマチャリ・ビシュバパーニも応待してくれた。彼の名前の意味は、普遍的な手。こちらは、170センチ弱の頭が多少薄い30歳くらいのイギリス人。

60平米ほどの瞑想室には、中央に西洋人顔をした仏像が安置され、瞑想用の座禅クッションや木で出来た座椅子が40ほど散らばっている。他にも30平米ほどの瞑想室が二つあり、それらを結ぶ中央に出版物をおいたくつろぐの間がある。一通り内部の配置を確認した後、私たち3人はそのくつろぎの場の片隅で話すことになった。

わりと好意的な態度に感じられた。こちらは緊張しつつも、準備しておいた研究計画などを説明した。すでに手紙やメールで説明してあったので、確認する作業だ。「大変興味深いので、可能な限り研究に協力します」とのこと。

最初から、あれこれ機関銃のように質問したのでは、数年かける長期の調査のスタートとしては頂けない。相手の質問にも答えながら歓談し、1時間ほどで帰った。教団の資料などを入手し、来週から一般向けの瞑想教室に参加させて頂くことに了解を得てのことである。緊張していた割には、スタートとしては上出来か。

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フィールドワーク no.2

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研究対象の2団体に手紙を送った。自分の自己紹介、研究のテーマと研究方法、研究期間などを説明した手紙と、指導教授クラーク先生からの研究支援レター同封した。院生が長期のフィールドワークをする際には、調査対象の団体へは指導教授の手紙を添えるのが最近の調査作法である。

1週間が経たないうちに両団体からメールが届いた。ありがたいことに、両団体とも研究調査に協力するとのことだった。まずは、初回の訪問が大切だ。これまでの準備を確認し、早速、先方にアポをとることにした。イギリスにきて半年、博士論文のためのフィールドワーク本格始動だ。

記念すべき今日の新聞はというと、
セントポール大聖堂に初の女性司祭が9月に任命されると記者会見が行われたとのこと。英国国教会では女性の司祭は認められているが、セントポール大聖堂が女性司祭に門戸を開放するにあたっては内部からの風あたりも強かったらしい。

19 January 1997

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英国大学奨学生募集中

イギリスのKingston Universityが大学院ドクターコースの奨学生を募集しています。

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ロンドン留学 no.56

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Friday 7 January 1997
夜、「君主制」を問うTV番組が、バービカン・ナショナル・エキシビション・センターで3、000人の聴衆を集めてライブで放送された。王室存続のの是非を問う電話即時投票では、260万人が参加。存続支持は66%、反対は34%であった。

しかし、チャールズ皇太子に対する反発は多かった。チャールズが王になった場合、英国国教会の最高指導者になるわけだが、不倫などスキャンダルの多いチャールズが英国国教会のトップになったのではたまらない、ということだろうか。昨年末の演説で、チャールズは西欧の物質主義を批判し、近代性と融合しているイスラムの精神を学ぶべきだと訴えた。チャールズは以前からイスラムへの興味があり、イスラム宗教指導層との接触を重ねている。

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フィールドワーク no.1

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いよいよ、博士論文のためのフィールドワーク、スタートである。 イギリスにきて半年の間、異文化を身体で吸収しながら、文献や資料を読み込みこんできた。調査・研究方法論を磨きながら、研究対象の団体を絞りこみ、キリスト教系の団体Jと仏教系の団体Fを調査対象とすることに最終的に決定した。

留学当初は、日本でも年末の社会鍋の募金活動で知られている救世軍 The Salvation Army を対象とする計画であった。しかし、博士論文としてのオリジナリティを考えると、救世軍では新たな学問的貢献はあまり期待されない。また、これから取り組む博士論文は、対象団体のモノグラフが主要な目的ではなく、利他主義と宗教の関係の研究であり、事例の比較研究が重要である。

以上のようなことから、8団体ほどをリストアップし、社会学的な比較研究が可能か、数ヶ月検討を重ねた。そして、最終的にキリスト教系Jと仏教系Fに事例研究の対象を決定した。指導教官のピーター・クラーク先生からもGOサインがでたので、早速、対象の団体にコンタクトだ。

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ロンドン留学 no.55

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大晦日。今夜はトラファルガー・スクエアーでカウントダウンがある。7万人がこの辺り一体に押し寄せるようだ。マイナス4度の寒い中、よくやるものだ。年明けと同時にキスをする。知らない人ともである。あたりにいる人、片っ端からキスをするそうだ。

私は朝から、カレーを作っていた。ニンニクを炒め、それからタマネギをハーブとバルサミコ・ビネガーで炒める。ジャガイモは皮をむき、適当な大きさに切ってあく抜きのために水に浸けておく。炒めたタマネギにニンジンをくわえて軽く炒め、白ワインをくわえて強火に。ジャガイモを入れ、アルコール分をとばしてから水をくわえ、鶏がらスープのもとをくわえて煮立つまで強火に。この間に、表面のあく抜きをしながらルーを作る。小麦粉、カレーパウダーをバターで炒め、だまにならないようにスープでよくといて鍋に加える。トマトの水煮とはちみつ、リンゴのすり下ろし、パルメザンチーズなど隠し味を加えて、あとは弱火で煮込む。

平生普段はパスタやご飯と味噌汁という簡単な食事だが、カレーとなると気合いが入る。月に1、2回はねじりはちまきでカレー作りに没頭するのだ。私は家ではベジタリアンである。外でのランチは特に野菜をとるようにしているが、友人との夕食は肉類を食べることもやぶさかではない。しかし、イギリスにきてから、未だに牛肉は口にしていない。狂牛病でスポンジ頭になって日本に帰るのは避けたいのだ。

同居人のラージとカレーで大晦日を迎えることになった。カレーライスではなく、カレーとナンのコンビである。これが大好評で、インド人の彼も大満足、「こんなに美味しいカレーは初めてだ」とお世辞まで言ってくれた。

カレーの晩餐後、ラージが買ってきたケーキを、帰宅した家主ミセス・デッタもまじえて3人で食べた。日本なら年越しそばを食べるところだが・・・。外はかすかに雪が降っている。留学して半年、どうにかやっていけそうだ。年が明けたら、本格的に研究対象である団体のフィールドワークがはじまる。来年は、どのような1年になるのだろうか。

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ロンドン留学 no.54

クリスマス休暇、イングランドの南サリーのギルフォードにあるヘレンの家に3泊4日することになった。ヘレンはキングスカレッジで宗教学を勉強、来年からオックスフォード大学でインド哲学を専攻することになっている。イギリスに7年すんでいるマサキは同じくキングスカレッジで宗教学を専攻し、2人は結婚を考えているらしい。

ヘレンは、数人で食事をしたり、パブに行ったりしていて、彼女も良い印象を持ってくれていたらしく、またマサキがリラックスできるようにと私もさっそってくれたのだろうか。彼もヘレンのご両親に会うのは今回がはじめてとのこと。イギリスではクリスマスは家族で過ごすものであり、非常に親しい友人を招待してもクリスマス・イブのパーティーくらいで、数日にわたって泊まるということは家族とみなしているということである。

24日夕方、ヘレン家に到着した。家の表側はテニスコート3分の2ほどの芝生、裏側には、さらに庭が。2階建ての家は敷地を贅沢に使った大きな邸宅である。リー夫妻が満面の笑顔で迎えてくれた。ラクビーを学生時代にしていたというミスター・リーは、頭は薄くなっているが長身のすらっとした英国紳士である。ミセス・リーは華奢なレディーである。

家具、おきもの、全てが驚愕の連続。ビクトリア時代の家具と立て続けに言われても反応に困ってしまう。それも自慢するというよりは、自然にさらっと出てくるのだから。日本や中国の陶器や絵なども多数飾ってある。日本語はまったく話せない一家であるが、柔道もやっていたというミスター・リーは東洋が好きらしい。ゲスト・ルームも素晴らしい。ベットサイドの小さなテーブル、クローゼット、全てが年代もの。窓枠のところにはさりげなく漆塗りの小皿が飾ってある。

ヘレンは自分で陶器を作るというからこれまた驚き。見せてもらったが、素人とは思えない出来。マサキと同い年30歳の彼女は多才な女性だ。

夕食は軽くワインをのみ、ポテトと煮た野菜と豚肉など。その暖炉の横で歓談し、夜11時半、車でクリスマス・ミッドナイトミサに向かった。ギルフォードの丘の上にある英国国教会の聖堂はすでに1、000人近くが集っていた。ミサは深夜1時まで続いた。クリスチャンのヘレンは聖餐式communionに参加。私も賛美歌を一緒に歌った後の聖餐式を見ながら、まさにsacred聖なものを感じた。イギリスの音楽グループ「オアシス(オエイシスと発音)」のトレーナーを着た若い青年が聖餐式に参加している光景も新鮮だった。

25日朝、雪が少々降った。シャワーをあびて、10時、シリアルとトーストの簡単な朝食の後、ミスター・リーの運転でカントリー・ウオークへ向かった。車をおりて、丘の上の教会など1時間ほど散歩。空気が澄んで気持ちよい朝である。

12時半帰宅、私とマサキは暖炉でくつろぎ、ヘレンとリー夫妻は料理の準備にとりかかった。ターキーはミセス・リーが朝6時におきて準備をしていたらしい。準備がほぼ終わったのだろか、ヘレン一家がリビングにバッカス・フィズをもってやってきた。シャンパンとフレッシュオレンジジュースでわったバッカス・フィズ。口にするのは初めてである。口あたりが非常にいい。乾杯のあとプレゼントをオープン。私とマサキは、美濃織部焼の湯飲みと日本酒などをヘレン一家にプレゼントした。私は紅茶のセットなどを頂いた。
いよいよメインの昼食。食事をする部屋がこれまた素晴らしい。桜の木でできた大きなテーブルにすわる。そして、ターキーの登場である。今度は赤ワインで乾杯。イギリスではホスト役の一家の主人が料理を皿にもる。ターキーをメインとして、ポテトやソーセージ、野菜など。食後は、クリスマスプディングである。プディングとはいうものの、フルーツとナッツがいっぱい詰まったフルーツケーキである。ブランディに火をつけてプディングにかける。薄青い炎が幻想的であるが、それも束の間、ナイフがグサッ。食べるときにはブランディー・バターをつける。これまた絶品。

リビングで5人で紅茶を飲みながら、シークレッド・ガーデンといういかにもイギリスといった感じの映画を見た。暖炉の火が、体だけでなく、心まであたため豊かにする。なんと幸せなクリスマスであることか。

26日。ボクシングディである。クリスマスの次の日、各家庭で日頃お世話になっている郵便配達人などにお祝儀を与える習慣があるらしい。朝から、カントリー・ウオークに向かった。今日は、馬に何度も出会い、また歩いている人と多数と挨拶を交わす。皆、あたたかい人ばかりである。サリーはイングランドでもミドル・クラス以上がすむところ。ロンドンとは異なり、黒人はまったく見かけない。

夜は、ヘレン、マサキ、3人で出かけた。カントリー・パブに向かった。パブの中に暖炉があり、非常に静かである。外の風の音と、薪の燃える音。そして、ときおり響く人々の笑い声。時の経つのも忘れて閉店の11時までいた。
 
27日。朝から雪である。リー夫妻にお別れをし、ヘレン、マサキと私はロンドン行きのブリティッシュ・レールに乗った。イギリスに来てから半年。この3日間ほどイギリス文化理解が進んだ日々はなかった。

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ロンドン留学 no.53

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豚の心臓を人間に移植することを認める新法案が来年にも議会に提出される可能性が出てきた。遺伝子的には問題がないことはすでに確認され、倫理的にも問題がないとされている。この検討を行ってきたのは私の通っているロンドン大学キングスカレッジのイアン・ケネディー教授の研究チーム。

2010年までに年間約45万人の心臓病患者に治療を行えるとしている。心配されるのは動物に特有な未知の細菌である。そして、これを引き金に、あらたな倫理的な問題が生じる。「豚に真珠」は役立たず、「豚の心臓」は重宝か。

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